
外壁塗装中に組まれる「足場」。実はこれが原因で、空き巣被害のリスクが跳ね上がることをご存知でしょうか。
足場は職人さんの作業に欠かせないものですが、同時に「2階の窓まで簡単に登れる階段」にもなってしまいます。
実際、施工期間中に空き巣被害へ遭う事例も報告されており、足場設置をきっかけに侵入リスクが高まるとされていることは各種の防犯情報でも指摘されています。
「工事が終わるまでの数週間だけ我慢すればいい」と軽く考えていると、思わぬ形で家族の安全が脅かされることになりかねません。
この記事では、建材メーカーで営業をしていた経験から、実際の現場で行われている防犯対策と、業者が教えてくれない「盲点」について解説します。
足場が組まれる前に確認すべきこと、施工会社と交わすべき約束、そして今日から自分でできる3つの鉄則まで、具体的にお伝えしていきます。
目次
外壁塗装中の「空き巣」被害は本当に増えるのか?データで見る実態
「そんなに大げさな話だろうか」と思う方もいるかもしれません。
まずは、なぜ足場設置期間が空き巣にとって狙い目とされているのか、その背景から整理していきます。
警察庁や損害保険会社などが公表する資料から見る施工中の侵入盗リスク
侵入窃盗の手口として、住宅の外部に足場や資材があることで「上階への侵入経路ができる」「工事車両や作業員の出入りで人目が気にならなくなる」点が防犯上のリスクとして各種の防犯協会・損害保険会社の資料でたびたび指摘されています。
侵入窃盗全体で見ると、無施錠の窓や2階部分からの侵入は依然として多い手口の一つであり、足場はその「2階へのアクセス」を物理的に容易にしてしまう点が問題視されているのです。
重要なのは、これは「必ず被害に遭う」という話ではなく、「平常時よりも侵入のハードルが下がる期間がある」という事実です。
だからこそ、リスクを正しく理解した上で、具体的な対策を講じることが求められます。
なぜ足場は「泥棒の階段」になってしまうのか
戸建て住宅の防犯において、2階以上の窓は「侵入されにくい場所」として油断されがちです。
ところが足場が組まれると、地上から2階以上のベランダや窓へ、まるで階段を上るように到達できてしまいます。
加えて、足場に張られた飛散防止用のメッシュシートは、外部からの視線を遮る役割も果たすため、作業をしている人物が本当に職人なのか、部外者なのかを近隣住民が見分けにくくなるという副作用もあります。
普段であればベランダの掃き出し窓は「2階だから」と施錠を怠りがちですが、足場がある期間だけはこの前提が崩れることを意識しておく必要があります。
狙われやすいのはどんな家?共通するパターン
- 足場や養生シートで囲まれ、外部からの視認性が下がっている家
- 工事期間中に留守がちになる(共働き・出張が多いなど)家
- 2階以上の窓の施錠を「高いところだから大丈夫」と油断している家
- 工事看板やチラシで工事期間・施主の情報が公開されている家
いずれも「意識していれば防げる」ものばかりです。
次の章では、実際にどのような経路・手口で侵入が試みられるのかを具体的に見ていきましょう。
足場が組まれている期間に空き巣が狙う「3つの侵入経路」
足場期間中のリスクを具体的にイメージできるよう、代表的な侵入経路を3つに整理しました。
2階以上の窓(施錠忘れ・網戸のみの油断)

最も典型的なのが、2階以上の窓からの侵入です。
「高いところだから鍵をかけなくても平気」という思い込みは、足場がある期間には通用しません。
とくに夏場は網戸だけにして窓を開けたまま外出してしまうケースもあり、これは施錠していないのと同じ状態になってしまいます。
足場のネット・シートに隠れた死角

飛散防止ネットや養生シートは、塗料の飛散防止や近隣への配慮という本来の目的がある一方で、外部からの視線を遮る「目隠し」としても機能してしまいます。
通行人や近隣住民が異変に気づきにくくなるため、日中の犯行であっても発見が遅れやすいという特徴があります。
資材置き場や工具からの侵入補助

現場に置かれた脚立やはしご、工具箱などが、そのまま侵入の足がかりに使われてしまうこともあります。
施工会社が管理を徹底していれば起こりにくいことですが、現場によっては資材の管理が緩く、夜間や休工日にそのまま放置されているケースも見受けられます。
| カワモリのワンポイント建材メーカーの営業として現場を数多く見てきた経験から言うと、「資材や足場の管理体制」は、その施工会社の現場管理力そのものを映す鏡です。契約前の打ち合わせで、防犯面への配慮についてどう答えるかを確認してみることをおすすめします。 |
施工会社に確認すべき「防犯体制」チェックリスト
防犯対策は施主だけが頑張っても限界があります。
むしろ、契約前に施工会社側の体制を確認しておくことが、最も効果的な対策の一つです。
足場を組む際の飛散防止ネットと施錠可能な構造の違い
足場そのものに、簡易的な侵入防止用のネットやパネルを追加できるかどうかは会社によって対応が異なります。
すべての現場で標準対応しているわけではないため、「防犯対策として何か追加できますか」と具体的に質問してみると、その会社の姿勢が見えてきます。
夜間の足場撤去・LED照明設置は依頼できるか
工期が短い現場や、住宅密集地では、防犯用の仮設照明を現場に設置してくれる会社もあります。
すべての現場で必須というわけではありませんが、不安が大きい場合は見積もり段階で相談してみる価値はあるでしょう。
近隣への周知(「留守が知られる」リスクの管理)
工事の挨拶回りは近隣との関係を良好に保つために大切な工程ですが、同時に「この家は数週間工事をしている=生活パターンが変わる」という情報が周辺に広まることにもなります。
施工会社が近隣にどのような説明をしているか、また工事看板にどこまでの情報(施主名など)を掲載するかも、確認しておくとよいポイントです。
契約前に確認しておきたい保証・保険の範囲
万が一、工事期間中に盗難や損害が発生した場合、施工会社の賠償責任保険でどこまでカバーされるのかは会社によって異なります。
「うちは大丈夫です」といった口頭の説明だけでなく、契約書や約款に記載された保証範囲を事前に確認しておくことが、いざという時のトラブル回避につながります。
施主が自分でできる防犯対策「3つの鉄則」
施工会社任せにするのではなく、施主自身が実践できる対策も重要です。
特別な費用をかけなくても始められる3つの鉄則を紹介します。
鉄則1:2階以上の窓も含めた全窓の施錠を徹底する
足場が組まれている期間は、普段は意識しない2階以上の窓も含めて、外出時・就寝時の施錠を徹底しましょう。
網戸だけの状態で窓を開けたまま外出しないことも、家族全員で共有しておきたいルールです。
鉄則2:防犯センサー・カメラを一時的にでも設置する
工事期間だけの一時利用であれば、電池式・工事不要のセンサーライトや簡易防犯カメラでも十分に抑止効果が期待できます。
「見えるところに設置されている」こと自体が、侵入をためらわせる要因になります。
鉄則3:「留守を悟らせない」工夫をする
洗濯物の干し方や照明の点灯時間を変えず、いつも通りの生活パターンを保つことも地味ながら効果的な対策です。
長期不在の予定がある場合は、施工会社にもその旨を伝え、資材の管理や施錠状態の確認を依頼しておくと安心です。
訪問営業・チラシ業者にありがちな「防犯軽視」の手口に注意
最後に、施工会社選びの段階で見ておきたい注意点を触れておきます。
防犯意識の低さは、そのまま現場管理の甘さに直結することが少なくありません。
「足場代無料」をうたう業者を選ぶ際の注意点
足場代無料をはじめとした値引きの打ち出しは、必ずしも悪いことではありません。
ただし、値引きの原資をどこかで補う必要があるため、現場管理や資材管理にかけるコスト・人員が削られる可能性も考えられます(もちろん、そうしたケースばかりではありません)。
金額の安さだけで判断せず、現場管理の体制まで含めて確認する姿勢が大切です。
契約を急がせる業者の見分け方
「今日契約すれば特別価格にします」といった即決を迫るトークは、比較検討の時間を奪うための常套手段です。
防犯面を含めた現場管理について具体的に質問した際に、曖昧な回答でごまかそうとする、あるいは話をそらして契約を急がせようとする会社には注意しましょう。
| カワモリのワンポイント本当に管理体制がしっかりしている会社は、防犯についての質問にも具体的に、根拠を持って答えてくれます。逆に言葉を濁す会社は、他の工程管理にも同様の甘さがある可能性があります(もちろん、一部にはそうしたケースもあるという程度に捉えてください)。 |
まとめ:足場期間は「非日常」と捉えて備えることが大切
外壁塗装中の足場は、工事に欠かせない設備である一方、住まいの防犯上は「非日常」の期間をつくり出します。
この記事で紹介したポイントを振り返ってみましょう。
- 足場は2階以上への侵入経路になり得ることを理解する
- 施工会社の防犯体制・保証内容を契約前に確認する
- 全窓の施錠、簡易センサーの設置など自分でできる対策を実践する
- 値引きや即決を急がせる業者には慎重に対応する
工事期間はどうしても慌ただしくなりがちですが、事前に少し意識を向けておくだけで、防げるリスクは数多くあります。
ご家族の安全を守りながら、安心してリフォームを進めていただければ幸いです。

